まくり屋よっちゃんの株日記

株式投資や人生の雑感を記します。

株と刺激

近所のパチンコ屋は車道に面するところに幟を掲げていて、
その幟には「退屈をぶっ飛ばせ!」と大書してある。
パチンコを打つような人間は概して人生に退屈していて、
安易な刺激を求めてパチンコやスロットの台の前に座り、
音や電気から与えられる刺激と引き換えに店にお金を置いていくのだから
すごく的を射たセールスコピーだと感心している。


株式市場の参加者もパチンコ屋の客よりも多少知的な言語を弄しているだけで、
常に退屈していて常に刺激を求めているという意味で
パチンコ屋に来る客と大差はない。
その証拠に大半の個人投資家は
「これはお金を儲けるための合理的な投資行動である」と言い訳しながら、
刺激を求めて儲かりもしない売買を日々繰り返している。


当たり前のことだが、株には売買手数料というものがあり、動くたびに金を失う。
流動性が乏しい銘柄だとaskとbidの差があって思うような価格で売買できない。
株式市場は何をするにしても、まずお金を失い、然る後に自分の思惑通りの方向に
相場が動いてくれたときにはじめてマイナスからプラスに浮上できるという
参加者にとって著しく不利な仕組みが構築されている場所である。
換言すれば、株式市場は動けば動くほど負ける可能性が高くなる場所なのだ。


何らかの「聖杯」を掌中にしており、施行回数が増えれば増えるほど
自分が求める期待利回りに近づく手法があるならば、どんどん売買すればいい。
しかし、「自分は売買すればするほど儲かる確固たるシステムを持っている」
と断言できないのであれば、毎日のように株を売買することは
お金を儲けることを目的とする合理的な行動ではなく、
つまらない人生から逃れるために刺激を求めて「適当売買」を行っているに過ぎない。
刺激を求めて「適当売買」をすれば、退屈から逃れてパチンコ屋に飛び込んだ客
と同じく、相場にお金を置いてきて素寒貧になるだけだ。


長期投資が良いか、短期投機が良いかという時間軸の問題。
順張りが良いか、逆張りが良いかというタイミングの問題。
集中投資が良いか、分散投資が良いかという問題。
ファンダメンタルズを重視するか、チャートを重視するかという問題。
定量分析を重視するか、定性分析を重視するかという問題。


極論すれば、株で儲けるために上記の勉強なんかいらない。
それよりも「退屈から逃れるために『適当売買』をしない」
というルールを徹底するべきだ。
そのルールが徹底されていなければ、「適当売買」を繰り返して
いつかみずからの手で口座を壊滅させてしまうからである。


株式投資をつまらない人生を面白くするための手段としてはいけない。
ただ単にお金を増やす手段であると割り切ることだ。